Requiem 311

#98. Fire Wedding

秋が待ち遠しかった

十月になれば 彼女がカナダから帰って来る
そのまま一緒に住んで そして結婚しようと誓ったから…


秋が待ち遠しかった

うなされるような夏の陽射しと引き換えに
収穫を済ませた稲穂の茎の
燃える匂いが町を包み込んでいる



燃える



まるで山全体が 喜びで満たされて行くこの時期

私はようやく 別世界へと呼び戻される

それは いつか来た道を引き返す無類の歓びとは
別のなにか…



今 彼女の胸に抱かれてる
つよく 彼女に抱きしめられている
だけど彼女は泣いている

そして私も泣いている




やっと一つになれた歓びと もう一つの気持ちの狭間で
僕らは二人にだけわかる約束を

果たそうとしている






--- 〔 南三陸町 30代前半 男性 〕 ---

Kevin Kern - From This Day Forward


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