Requiem 311

#57. 燃ゆる思い

誰を怨む隙も与えられなかった

更地に建つ小さな仮小屋の中
眠っているのではなくて
置かれただけの 同じ目をした仲間たち

昨日まで隣り合わせの田畑で
ともに汗を流した仲間たち


私たちは一思いに
火の中に放り出される宿命を
ともに 以心伝心で感じ取る








花の一輪も手向けられぬ死

それでもこうして誰かの目に止まり
灰となれることを せめて

奇跡と思うほかになかった





--- 〔 陸前高田市 60代後半から70代 男性 〕 ---

Due Tramonti - Ludovico Einaudi


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