息苦しさに目が覚めた
長い時間 誰からも見捨てられたみたいな私
だけど心だけが 晴れやかに空を舞う
海が好きだった
ずっと海の見える部屋で暮らしていたけれど
海の中で眠ったのは初めてのことだった
鯨も海月もいない 静かな海の底には
私と似た境遇の見知らぬ人々が 砂を被って眠ってる
![コスモス](PHOT00000000000969BF_500_0.jpg)
大好きだったクラスメイトの彼は どうしてるんだろう…
彼は九月生まれ
私と同じ誕生月だからきっと相性が抜群にいいはず… なんて
勝手に決め込んで 何度も占いに興じた
昨日までがなつかしい
何枚もの花びらをちぎっても 好きか嫌いかのどちらかしかないのに
好き… が出るように
最初に花びらの数を数えて占った ずるい私
もう 逢えないんだね…
こんなことなら好きと 思い切って告白しとけばよかった
水辺に早咲きのコスモスが咲き始めてる
左手に花を掴んで 一枚… 二枚… 三枚…
好き… が出るようにちぎってみようか
ここは海の底
なのに蜃気楼みたいに あたり一面に
コスモスが咲いている
--- 〔 陸前高田市 10代半ば 女性 〕 ---