Requiem 311

#90. 白夜で君を想う

私はもう 時間を感じることができない
朝か夜か それとも夕刻なのか…さえ
捉えることができない


目の前に 白夜のような光景が広がっている


ひしめき合う吐息の渦が 空に舞い上がる

途中まで空を伝って降りて来る者もいるし
何度もその先をめざす人もいる



霧の中で


だけど私は生きている
生きようとしている

そのことを伝えたい家族が まだどこかにいると信じて

その場所に向かって行こうとしている


もつれる足を一歩一歩ゆっくり動かして
時には手を羽根のかわりにして 宙を移動するように


どうしても会いたい君のために 私は
なんとかしてここから出ようと もがいてる





--- 〔 陸前高田市 30代 男性 〕 ---
* photo by Akira Tanaka *


Arrow of Time ~ Erik Wollo.


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