もう 誰を信じていいのかわからなかった
だから 天の声に従った
波は目前に迫っている
だけどここにいる方が ここから出るより安全だから… と
飛び出そうとする僕を引き止めたのは
共に学ぶ大切な友人だった
そのまま一気に 何もかもが終わるなどと
思ってもみなかったこと…
バスが荒波を航海し始める
空が回り 世界のすべてが横転し
そのまま海面が窓の半分まで到達した時
僕は覚悟を決めた
何も聞こえない世界の中に
… それでも心強い仲間と共に向かって行く
この先に何が待っているのだろうか
ふと 母の呼ぶ声を聞いた気がした
これで安心だ 皆助かったんだ… と思い
僕はそのまま眠りについた
鎮まった凪の その後の世界には
二度と戻ることのないまま
思いもよらない遠くの海で
仲間たちと
夢から醒めるのを 僕は待ってる
--- 〔 行方不明 陸前高田市 予備校生男子 〕 ---