生まれて来る子供の名前を 考えていた
五月に生まれる女の子だと分かっていたから
さつき がいいね… って話す君の目が
零れ落ちる露のように潤んでた
人生設計が大好きな君と 僕と そして彼女と…
海沿いに小さなレストランを開くのが
ちょっとした夢だったから
そのために貯金もして
やっと建てた小さな家
最初で最後の来客は 海だった
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逃げ遅れそうな君を 最後はおぶって
必死で坂道を駆け上がって行った
体力がある方ではなかったし
途中から何が起きたのか もう今では覚えていない
長い眠りから醒めてみると そこは見知らぬ地
荒れた砂地に僕は眠っていた
助かったんだ… そう思って
最初の一歩を踏みしめてみる
そしてもう一歩 さらにもう一歩…
まるで雲にでもなったみたいにそれは 軽やかな一歩ずつ
こうしてはいられない
君を迎えに行かなくては…
僕は瓦礫の間に隠れるように咲いていた
ありったけの白い花を摘んで
それを靴紐で結いて花束にした
生まれて来る娘と 君を想いながら…
--- 〔 行方不明 30代 男性 〕 ---