Requiem 311

#95. かなしい復活

何もかもが昔に戻って行く

ほんとうに 何もかもが 何も起きなかったあの頃に
傷を負ったまま強引に 戻って行こうとしている


少しずつ整備されて行く道路の
その脇に眠る人々を忘れるように…

そして起こさぬようにと気遣いながら
そっと元通りになって行く町の風景

その中を風となって走って行く私や 息子たち
愛してやまなかった
か弱い生き物たち…



秋



核家族のような我が家にだって 懐かしい日々があった
安らぎと夢があった

思い出せば辛くなる だから
考えないように…

光の中で眠り続けてる


用事もないのに目が醒める日曜の朝のように
黙って太陽の背中を見つめてる




いってらっしゃい…

もう何処へも行かない家族に そっと呼びかけた

すると
声のない返事の代わりに秋の花々が揺れて
そこに愛の一部がまだ 埋まっていることを
教えてくれる





--- 〔 宮古市 50代前半 女性 〕 ---

David Lanz - Ambient Plains


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