何もかもが昔に戻って行く
ほんとうに 何もかもが 何も起きなかったあの頃に
傷を負ったまま強引に 戻って行こうとしている
少しずつ整備されて行く道路の
その脇に眠る人々を忘れるように…
そして起こさぬようにと気遣いながら
そっと元通りになって行く町の風景
その中を風となって走って行く私や 息子たち
愛してやまなかった
か弱い生き物たち…
![秋](PHOT000000000001ECC5_500_0.jpg)
核家族のような我が家にだって 懐かしい日々があった
安らぎと夢があった
思い出せば辛くなる だから
考えないように…
光の中で眠り続けてる
用事もないのに目が醒める日曜の朝のように
黙って太陽の背中を見つめてる
いってらっしゃい…
もう何処へも行かない家族に そっと呼びかけた
すると
声のない返事の代わりに秋の花々が揺れて
そこに愛の一部がまだ 埋まっていることを
教えてくれる
--- 〔 宮古市 50代前半 女性 〕 ---