Requiem 311

#97. 夕日の幻影


沈まぬ夕日を見上げてる

なぜ 止まったまま太陽が行かないのか
それを尋ねる気力はもう とうに失せていた

だがここではすべてが 永遠の夕日に包まれて
赤く色づいている



夕日


時間の感覚も薄れて 涙腺だけが淡く温まる午後
目に映るもの 何もかもが美しい
焼き付けておきたい光景は水に溶けた絵画のように
滲んでしまうけれど


あとからあとから溢れ出す涙が やがて
共に眠る仲間たちの
乾いた夢に流れ着くことを ひたすら祈り続けてる


その時何が始まるだろうか…

その時何かが
始まるのだろうか…



誰かがそっと合わせてくれた両の手の中に
秋が灯りはじめる





--- 〔 石巻市 50代後半~60代 男性 〕 ---

George Skaroulis - A New Day Has Come


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