沈まぬ夕日を見上げてる
なぜ 止まったまま太陽が行かないのか
それを尋ねる気力はもう とうに失せていた
だがここではすべてが 永遠の夕日に包まれて
赤く色づいている
時間の感覚も薄れて 涙腺だけが淡く温まる午後
目に映るもの 何もかもが美しい
焼き付けておきたい光景は水に溶けた絵画のように
滲んでしまうけれど
あとからあとから溢れ出す涙が やがて
共に眠る仲間たちの
乾いた夢に流れ着くことを ひたすら祈り続けてる
その時何が始まるだろうか…
その時何かが
始まるのだろうか…
誰かがそっと合わせてくれた両の手の中に
秋が灯りはじめる
--- 〔 石巻市 50代後半~60代 男性 〕 ---