あれから陽射しを避けて 歩いてる
光の中の私は 私の輪郭を持たなくなるから
ずっと陽射しを避けて 歩いてる
光の体は美しく すべてが昇華されて行くといった人の
その言葉がまるで嘘のように
私は重く眩しい光を胸に宿し 永遠の闇を歩いている
この世で最も愛しい人の傍にいて
ふたりが一人一人になって行く日常のなかで
それでも私はこうして詩を紡ぐ
誰にも読まれることのない詩集の表紙に
「いつかのふたりへ」 と書いた私
まるで異国の図書館で偶然出会う旅人のように
ふたりはそれぞれ 成長した姿で出会うのだろう
眩しい陽射しを避けて 互いが見える木陰のベンチで
互いに同じ本を 手に取り
すすり泣くように その文字を追いかけるだろう
--- 〔 関東 50代 女性 〕 ---