Requiem 311

#92. 緑色の私

朝が来ても 夕方になって太陽が落ちても
私はただ ここに寝かされたみたいに動かない

苦痛も闇もとうに消え去っているのに
たった一筋の光だけが降りて来ない


神様の居所を誰かに尋ねたい

でも あの日から 誰の姿も見えない

ただ 秋の雨に抱きしめられるたびに
少しだけ上を向く癖がついた 緑色の私



影



ねえ… 何も思い出せないのは 幸せなことなの…?


自分の影を土の上に映そうとすると そこに
小さな小さな植物の蔓が伸びていた

最初から私は こんな姿だったのかな…

なのに 植物… らしからぬことばかり考えて
あの春の午後の痛みを思い出そうとしているのは なぜ…?




誰かのお腹を蹴って この世に飛び出た淡い記憶が
私にあるのは なぜ…?







--- 〔 釜石市 10代後半ぐらい 女性 〕 ---

Michael Whalen 'Life Is A Circle'


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