住み慣れた町を一歩一歩
踏みしめながら進んで行く
ここには学校 そしてここにはブランコが…
そして少し離れたところに駄菓子屋さんがあって
その横にはタバコ屋さんが自動販売機を二つ並べてね…
瓦礫の中に埋もれた思い出を
どうかそのままにしておいて… とすがる店主の嘆きが
この空を舞う
秋の訪れとともに ここに帰って来る魂がいる
変わり果てた自宅の庭に じっと佇んでいるように見える少女の目が
空の青さと静かに同化する
昔と同じように銀杏取りをしようかと
笊を持ってしゃがみ込む人もいる
彼らは心の世界に生きていた
思い出の中で それ以前の自分を無限にやり直すチャンスを与えられ
その喜びの中で
…前日のまま微笑っている
--- 〔 釜石市 30代前後 〕 ---