いつかこうなることを恐れてた
たとえ “いつか” 起こることだったとしても
それは “いつか” のことだと思い込もうとしていた
甘い話には裏がある…
そんなことは百も承知だったのに
この場所を永住の地に選んだ 私の愚かさは
大切な家族の将来をものの見事に呑み込んだ
すべては終わったのか…?
いやこれは ただの序章に過ぎない
正気を取り戻したように 海は
今日も 昨日も 穏やかだ
何事もなかったみたいに
その水面に太陽と空を映して
異国の女の如く にっこりと微笑んでいる
空腹を満たした後の女のように
海は
光と風を深々と吸い込んで
重たい脈を打っている
--- 〔 福島県大熊町 40代後半 男性 〕 ---