息苦しさに目が覚めた
長い時間 誰からも見捨てられたみたいな私
だけど心だけが 晴れやかに空を舞う
海が好きだった
ずっと海の見える部屋で暮らしていたけれど
海の中で眠ったのは初めてのことだった
鯨も海月もいない 静かな海の底には
私と似た境遇の見知らぬ人々が 砂を被って眠ってる
大好きだったクラスメイトの彼は どうしてるんだろう…
彼は九月生まれ
私と同じ誕生月だからきっと相性が抜群にいいはず… なんて
勝手に決め込んで 何度も占いに興じた
昨日までがなつかしい
何枚もの花びらをちぎっても 好きか嫌いかのどちらかしかないのに
好き… が出るように
最初に花びらの数を数えて占った ずるい私
もう 逢えないんだね…
こんなことなら好きと 思い切って告白しとけばよかった
水辺に早咲きのコスモスが咲き始めてる
左手に花を掴んで 一枚… 二枚… 三枚…
好き… が出るようにちぎってみようか
ここは海の底
なのに蜃気楼みたいに あたり一面に
コスモスが咲いている
--- 〔 陸前高田市 10代半ば 女性 〕 ---