そこで押し黙るものの姿を ただ見つめるだけの私
長く連れ添い そして時には私の体の一部となることを
歓んで受け入れてくれた彼らの
崩れ落ちる背中をさするだけの一週間と数日…
光が何よりの恐怖だった
それは闇から来るもの
そしてすべてを奪うものだったから…
痩せ細ってゆく彼らはそれでもなお 乳を腫れ上がらせ
私の役にたとうと懸命だった
何れあの世に行く彼らのために 私にできることは何なのか…
数日間必死で神にそれを問い掛けてはみたものの
答えは一つも降りては来なかった
私に出来ることはただ一つ
それは先に逝き 彼らを受け止めることだけ
言葉にならない彼らの思いや無念と
永遠に共にあろうとする この思いがせめて
揺らがぬうちに… …
--- 〔 飯館村 60代 男性(酪農家) 〕 ---