潮を含んだ土 その下に眠る私の過去
遣り残した私の夢は
真夏に咲く一輪の花に 姿を変えて行く
夏…
眩しすぎる夏
私は目を閉じたまま太陽を仰ぐ
誰にも見つけられることもなく一人
今日も明日も 昨日を彷徨いながら
無限の時をしとねに
瓦礫の下にも 時は流れて行く
だけど人は その上に
昨日とは違う過去を積んで行く
私は時々踏みつけられたり 蹴飛ばされそうになりながら
それでも必死で向日葵の茎に
ようやく届く右手の中指で 一滴の水を吸い上げる
彼女は私を見ていた
夏の日差しに煽られ 伸びて伸びて
あと少しで空に届くかもしれないと 懸命に伸ばした背中に
多くの疲労を背負って ふと
自らの根元に触れる私の指先を 確かめている…
まるで それは恋のような
永遠の瞬間だった…
--- 〔 南三陸町 40代 男性 〕 ---