熊みたいな雲が 僕を見ている
まるで君が好きだった ティディーベア…
ふっと懐かしくなる
熊は少しずつ形を変えながら
僕の頭上を通過しようとしていた…
紳士的 かつ威厳を持って 毎朝君の前に立ち続け
決して先走ることもなく まるで老人のように
つとめて振る舞った三年間
君は受験を終えて
次の世界へと飛び立つ支度を始めていた
そこが今 一番行きたい世界だと
時折私を訪ねて来ては
目を輝かせて話をする君を前に
私はなすすべを見つけられずにいた
君が二十歳になったら もう一度会おう
そう心に決めた朝の物悲しさを
せめて悟られまいと 作った笑顔は引き攣ってた
これから始まる
0.5から始まる
だからこの思いはこのまま そっと
私の中に仕舞っておこうと決めた その日が
永遠の別れになるなんて…
そんなことなら… と
狂わんばかりに瓦礫の砂丘を走り回る 僕の姿を
やはり 君は捉えられない…
--- 〔 陸前高田市 30代 男性(教師) 〕 ---