禁止区域と書かれたこの場所で
何が起きているのかは 多分誰も知らない
悔恨の末 そうするしかなかった
見知らぬ労働者の震える指先で
静かに
静かに 弔われて行った私たち
助かるはずの命もあった
あの引き波の直後に 言葉を交わした父の声
きっと誰かが助けに来てくれると信じて
“ 頑張れ ”
“ 頑張ろう ”… と
共に声を掛け合った被災者たち
その声がひとつずつ消えて行く かなしい現実を
神様でさえ
止めることが出来なかったのは
なぜ…?
30年間 信じ続けて来たものが
一瞬にして崩れ落ちた あの絶望の中
それでも私は アーメン… と
繰り返し心の中で 叫び続けた
妄想の中の女神の微笑みは
信仰者たちの苦難を前に
それでも微動だにしない ただの銅像だったこと
そのことに気づくには あまりに遅すぎた…
それでも何度となく 私は神を呼んだ
降りて来るはずのない 神の名を
必死で 叫び続けた
--- 〔 南相馬市 40代 女性 〕 ---