もうどんなに叫んでも
ここに誰かが来ることはないだろう
草野球で鍛えた肺活量が たとえクラスで一番だったとしても
魚にはなれない僕たち
皆 眠っているように見えて
心だけが生きている
今まで通りの暮らしに還って行く人もいる
だけどすべて夢
あの日 あの瞬間に戻れたら
あの瞬間からもう一度やり直せたらいいのにと
水を含んだ瞼の向こうで夢を見てる
もしもここから出て行こうとする君を
引き止めなければよかったのか… と後悔しながらも
君と一緒に旅立てたことを
こんなに歓んでいる…
友達のできなかった僕にできた
最初で最後の友達が 君だった
それが永遠の誇りと勲章
海の底で言うセリフじゃないよね こんなこと…
でも これが本心
水の上の世界を 少しだけ見て来た
世界は何もなかったように
再び転り始めてる
まるで最初から 僕も 君も
存在してなかったみたいに…
--- 〔 行方不明 陸前高田市 予備校生男子の学友 〕 ---