目が醒めたら 横に少女が眠ってた
真夜中になると発作を起こす少女の
背中をさすってあげるのが 日課になって
そのうちとても親しくなった私たち
窓から毎朝見える遠くの海が
唸りを上げた あのとき
彼女は 一足先に
その境界線の上を彷徨っていた
私は 迷った…
母の言葉を何度も繰り返しながら
それでも 彼女の傍にいてあげようと
私は心に決めた
いのちを預かる仕事に
一番反対したのは母だった
最後は自分を大事にしなさい… と
いつも小煩く諭してくれた あの声を
私は今頃 こんな場所で思い出してる
だけど私は やっぱり仕事を選んだ
今 こうしてここで
彼女と共にいることを選んだ…
そうしてよかったと
心の底から思ってる
--- 〔 行方不明 陸前高田市 30代女性(いのちを預かる職に就く) 〕 ---