生まれ変わったら
君とワルツを踊りたい
五十歳を過ぎた日に
誰にも内緒で始めたダンス
ステップを踏めるまで一年以上もかかった
会社の帰り 残業だと言っては体育館の片隅で
昔の恩師を呼びつけて猛特訓に励んだ
いつか 映画 "Shall We Dance?" のように
華麗に君を驚かそうだなんて
それがありきたりな 中年男の
無謀な夢だったとしても…
流されて行く部屋の内と外
知り合う前の二人に戻って行くだけだと
何度も言い聞かせながら
凍えるつま先で微かにターンした
この夢はきっと
来世で叶えようと固く誓った 海の底で
僕は
瓦礫とワルツを踊ってた…
--- 〔 行方不明 気仙沼 50代後半の男性 〕 ---