Requiem 311

#47. ワルツ

生まれ変わったら
君とワルツを踊りたい

五十歳を過ぎた日に
誰にも内緒で始めたダンス

ステップを踏めるまで一年以上もかかった


会社の帰り 残業だと言っては体育館の片隅で
昔の恩師を呼びつけて猛特訓に励んだ


いつか 映画 "Shall We Dance?" のように
華麗に君を驚かそうだなんて

それがありきたりな 中年男の
無謀な夢だったとしても…







流されて行く部屋の内と外

知り合う前の二人に戻って行くだけだと
何度も言い聞かせながら

凍えるつま先で微かにターンした



この夢はきっと
来世で叶えようと固く誓った 海の底で
僕は

瓦礫とワルツを踊ってた…





--- 〔 行方不明 気仙沼 50代後半の男性 〕 ---

Epilogue - Lee Byung Woo


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