夢の中で文字を書いていた
何十年も寄り添っていたのに
夫婦で手紙なんて 今まで思いもつかなかった…
いつも傍にいるのだから
あらためて筆を取るまでもなく
あなた… と呼べばそこにいる人だったから
それがどれだけ幸せなことだったのかと
息もつけない暗闇で一人 気がついた
長い旅は始まったばかり
きっとこの旅には終わりがなくて
愛する人の胸の中に戻ることもできなくて
それでも私はこの旅を もう
やめることができない
それを 貴方に伝えることもできない
--- 〔 行方不明 気仙沼 70代~80代の女性 〕 ---