Requiem 311

#37. 妹へ 2.

そこにいるのは私じゃない

真っ白な花々に包まれた こじんまりとした棺
貴女はけっして その中を覗こうとはしなかった

だって そこにいるのは 私じゃない…
きっと貴女は それに気づいていた


だけどもう それが誰だったとしても
この悲しみが癒えるわけではないから

ここで一人 太陽を見上げてる






慌ただしい祈りの言葉と儀式
それを止めることの出来ない 宿命の彼方から
貴女の背中だけを 見ていた


言い残す言葉の一つも 思いつかない
すべては呆気なく

そして残酷すぎた




貴女がいつか 今の私を追い越して行くとき
思い出してね

平凡な一人の女が
平凡ではない

かなしい最期を受け入れたこと …





--- 〔 行方不明 陸前高田市内公共施設から消失 30代から40代 女性 〕 ---

Libera 永遠の時


BACK <<< HOME >>> NEXT