Requiem 311

#33. 春の歌

音楽室で ピアノを弾いてた午後

この曲が仕上がったら真っ直ぐに
家に帰る予定だった


今日はママが とれたての卵でプリンを作って
待ってるはずだった



“ おいけのまわりに 野バラが咲いたよ… ぶん ぶん …


蜂が飛ぶ前に 海に放り出されて
向こうから流されて来た車の中に すっぽりと挟まったまま

私は魚になった







ここはどこだろう…

まるで社会の授業で見たビデオの中の
海底遺跡みたいな風景が拡がっている


朝が来て 太陽が空を一周して
そして沈んで行く

まるで地球の一部になったみたいな私の
頭の中で廻り出す 春の歌…




ぶん ぶん ぶん … は ち
が …




--- 〔 行方不明 9歳(推定) 女児 〕 ---

nella fantasia - in my fantasy celtic woman


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