たぶん 私はママに抱かれて泣いていた
きらきらと光る太陽や 空とか雲とか
すべてが見分けのつかないぼやけた視界の中
わかるのは ママの汗と
優しい体の匂いだけ
すべてはこれから 始まるはずだった
これからゆっくりと 歩き始めるはずだった
私を生んだ後のママは 私を生んだ衝撃と疲れを背負って
起き上がることさえ出来なくて
海の中を 私の手だけを握ったまま流されて行った
どうすることも出来ない二人
だけど 二人はいつも一緒
怖いものなんて 何にもない…
そして 二人はいつも一緒
ここで魚の群れを見上げてる
ここで
夏が半分つまった青空を見上げてる
私は再び ママの子宮の中にいるみたいにゆらゆらと
眠ってるママの腕の中で 揺れている
--- 〔 行方不明 生後一日半(推定) 女児 - 母と共に眠っている 〕 ---