#30. それぞれの成人式
あと一日で 二十歳になれた
あと 一日で
僕は大人への一歩を踏み出すところだった
愛する人と初めての酒を呑み
悪ぶるガキみたいに 煙を纏って
この海沿いの田舎道を闊歩する予定は
遂に 永遠に空欄のまま 埋めることが出来ないまま…
小さな手帳と携帯の小窓で微笑む僕を
君はまだ 愛してくれている
だけど もういい…
君には君の生きる道があって
今の僕はもう
そこに交わることが出来ないから
少し早い紫陽花が揺れている
早くにあっちの世界に渡った人々を 泣きながら送り出すみたいに
泣いて 泣いて 泣いて…
露をそのやわらかい肌に染み込ませながら
君を そんな風にしたくないと思うから
僕は この空の上から ただ君を見ていたい
僕の知らない 未来の君に
乾杯…
--- 〔 行方不明 19歳と364日 男性 〕 ---
あと 一日で
僕は大人への一歩を踏み出すところだった
愛する人と初めての酒を呑み
悪ぶるガキみたいに 煙を纏って
この海沿いの田舎道を闊歩する予定は
遂に 永遠に空欄のまま 埋めることが出来ないまま…
小さな手帳と携帯の小窓で微笑む僕を
君はまだ 愛してくれている
だけど もういい…
君には君の生きる道があって
今の僕はもう
そこに交わることが出来ないから
少し早い紫陽花が揺れている
早くにあっちの世界に渡った人々を 泣きながら送り出すみたいに
泣いて 泣いて 泣いて…
露をそのやわらかい肌に染み込ませながら
君を そんな風にしたくないと思うから
僕は この空の上から ただ君を見ていたい
僕の知らない 未来の君に
乾杯…
--- 〔 行方不明 19歳と364日 男性 〕 ---