水際に 遅い春が到来する
瓦礫の中に それでも花が開く瞬間
人は 満たされていたあの頃に
懸命に還って行こうとする
僕を 置いたまま…
カメラを担いで 色々な海を巡り
波を味方に魚と一体になる 海男の一人となり
いつものように 波を蹴ってみる…
動かぬ手足をバタバタと
いつも通りに
だけど いつも通りには行かないこの体に
なぜ… と問いかけながら
あまりに穏やかすぎる海の底
与えられた永遠の時間 その中で
どうしたらいいのかと
考えながら…
--- 〔 行方不明 推定40歳前後 男性カメラマン 〕 ---