あの日 家を失った私たち
あの日 愛するすべてを失った私たち
私はここにいて そして
私の中に もう一人…
もう直ぐ生まれて来るはずだった 小さな命
月子 と名前を決めていた私たち夫婦
その日まで あと少しだった…
…
そしてこの子を連れて流れ着いた 海の底から
あなたが好きだった 月を見上げてる
胎教にいいと言われ 何度も聴いたあの曲を
私の代わりに
今夜は貴方が聴いている
自宅の庭先にだけ灯る光
貴方の流す涙が 何度も
月に反射する
私たちのために もう泣かないでと
伝えられぬままの 闇の中で
形見の一つも残せなかった私に 今
出来ることは
何だろう…
--- (31歳 女性 妊婦 / 胎児 女の子) ---